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アンテナからの輻射について わかったこと

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電波がアンテナから出入りすることについて... 2009.08.18修正・分割 電磁気の基本の理解を別に分離しました。

基本的なことでありながら、ぼわーっとしか理解できていなかったので、苦しみましたが、少し基本を勉強し直して前よりはわかった気になっています。

1)ほとんどのANTで定在波が重要な働きをしているので、その基本を再確認すると、
- 定在波は、進行波が、どこかで反射されると、その反射波と重なって、外から見ていると、
 その合成波は、1/2波長の区間単位で、区間内どこでも同じ位相で、
 振幅が区間の場所にsin関数分布し、それらが時間とともに同じ場所で振幅変化する。
 隣の1/2波長区間では位相だけが180度ずれた様相になっている。
- 反射は、高周波がshortやopen状態など伝送インピーダンスが異なる境界に到達すると発生する。
 進行波型以外のほとんどのワイヤーエレメントANTの場合、
 給電点から一番遠いところにopen点があり、そこから逆にたどるようにして定在波を描いていける。
 open端では電流が裏返って返ってくるとイメージすればOKで、合成した定在波は、
 かならずopen端で電流ゼロのsin wave状になる。
 電圧については、逆に、open端でそのまま重なって倍になって最大点となるcos wave状になる。
 loop ANTなら一番遠いところがshortと考えて定在波を描けば良い。
 難しいのは、Windom ANTのような非対称形の場合で、
 open端からsin waveの電流定在波分布になるのはかわらないが、
 長さの異なる両端からの定在波同士の関係や、コモンモードの成分がどうなるか? 
 これを知るためには、
 面倒でも、給電点から左右のエレメントに同時に任意の進行波電流をちゃんと描いていき、
 それがopen端に到達したらマラソンの折り返し点のようにぐるっと回り込んで戻りも描いていく。
 両方からの反射波電流も描けたら、それから合成した定在波電流分布を描けば、左右の関係も含め
 完全に定在波が描けます。給電点に対してどんなコモン電流が返ってくるかもわかるはずです。
 loop ANTの場合も同様に、両方の進行波をぐる~っと一周して給電点までもどってくれば、
 それぞれが互いに反射波のような働きをしますので、合成した定在波の分布が見えてきます。

さて、ここから本題
2)身近で基本的なDipole Antennaを例に、どう電磁界ができて、どう電波輻射するかを考えてみる。
- 給電点から進行波が給電され、それがopen端反射して、定在波を発生しながら返ってくる。
 定在波電流と定在波電圧は図1のようになる。
- この分布図1は、起点をいつもDPのopen端に取って、給電点までの片エレメントの長さにすると、
 DPの長さが変わってもいつも同じ形のグラフになる。定在波がopen端反射で決まるから当然である。
- 一方DPの給電点インピーダンスが長さによってどう変わるかは、教科書にもあるけど、
 図2のようになる。(正確には、DPのインピーダンスというよりDPやopen stubのリアクタンス成分)

 0~1/4波長など、短いときはC値もL値も小さいが、
 キャパシティブリアクタンス値は1/ωCで大きく、
 インダクティブリアクタンス値はωLで小さいので、
 どちらがたくさん効いて給電点から見えますかと考えれば、当然キャパシティブとなる。
 これらはちょうど片エレメント1/4波長あたりでインダクタンスとキャパシタンスがバランスして、
 いわゆる直列共振状態になる。それ以上の長さでは、インダクタンス分が勝ってくる。
 そして、ここでは説明はしょるけど、片エレメント1/2波長のところで自己共振(並列共振)し、
 ここを境に急に極度のインダクティブから極度のキャパシティブ(小さなキャパシター)になる...
 以後、循環...

次がとても面白いところで、なんで、これら図1と図2がつながるか?!について...
- 図1のVとIの定在波の関係を位相ベクトル図で示すと図3のようになる。
 先端の部分では、キャパシターに見える働きをしている。図3でいえば、領域Aのあたりに相当する。
 V最大で、これより90度進んだ電流Iがあるがほとんどゼロ付近。
 つまり電界より電流の位相がほぼ+90度ある状態。
 先端から1/4波長のあたりでは、電流と電圧は同位相に近づくので領域Cのあたりに相当する。
 中間の1/8波長付近は、中間の領域Bに相当と考えられる。
 つまり、
 微小DPの領域では、ほぼC状態に近い電磁界回路の動きに相当しているが、
 1/2波長DPの領域に近づくにつれて、直列共振状態の純抵抗の動きに近づいていく。
 電磁界エネルギーのベクトルの動作角が、DPの各部分において-90度から0度にむかって、
 先端部から給電部に向かってキレイに回っていると考えればよいことになる。
- この電磁界エネルギーのベクトルの角度は図2のCとLの綱引き状態にも一致する。
- このうちreal partに相当する部分の電磁界のエネルギーだけが電波として輻射される、
 そしてこのreal partの成分は電流定在波Iに相当するわけで、
 つまり、各部分からの電波の輻射は、電流定在波Iの大きさに比例することになる。
- よくいわれているように、電流定在波Iの分布に従って各部分からの輻射の強さがきまる。

「定在波は、1/2波長の区間の単位で同位相になる」のですが、出てくる電磁界は場所で位相が変わる!
同位相のIの定在波と、それとは場所だけ90度ずれて時間的には同位相のVの定在波とから作られる、というかエレメントの境界をまたいで空間に出現する電磁界については、場所的にくる~っと位相が回るようになっている、とのイメージです。
そういう電磁界があって、それをIとVとに成分分解してエレメント側に分布させると、
キレイなsin waveのIとcos waveのVになるわけです。
出てくる電磁界のほうからみると、先にDPの中央の電流腹部から出た電波に、
それが広がっていく先々でちょうど位相があった電波が、量はsin waveなりに減りながら加算されていくイメージであり、とても自然な姿を表していて納得のいくものです。

ANTはやはり電流腹のところが大事ということ、先端部は電波輻射にはあまり寄与しない
さらにいうと、小さなANTにおいては、根本的にANT先端部と同じ状態になるので、
なかなか輻射できない、ということ。
輻射抵抗をあげるには、ちゃんと位相が回ってきて電界と磁界の位相が揃う部分がでてこないと
効率は上がらない。

コイルなどを自己共振状態にすると、ヘリカルホイップのようにコイルのopen端(Capa Hatもopen端)
のところから反射して定在波がコイル上にも立ちます。そしてコイルの上にも電流腹の部分ができるようであれば電波はでます(たいていの場合コイルの軸方向の偏波になる)
ただし、短縮してあるので、輻射抵抗はなかなかあがらず、ロスのでやすい物になりがちでしょう。  
- 給電点からみたANT全体の輻射抵抗は、この電流定在波Iを全ANT分積分したもので
 POWER値を除したものとなる。
- 従って、一定の面積になるようにIのパターンを描き、給電点のところのIが小さくなるものが、
 より高い輻射抵抗を持つことになり、OHM損失のことを考えるとロスりにくい。
 実用的には50ohm以上300ohmくらいまでが使いやすい。
- 単に電流定在波の値を大きくしただけでは、low impedanceになってロスりやすい。
 輻射に寄与する部分を増やさないとだめ。
- ちょっとした抵抗分がコイル部分や、small ANTでは、決定的なロスにつながりやすい。

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